青学の紅い悪魔・降臨編
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菊丸英二は朝から機嫌が悪かった。 学校に到着した当初から、朝練の最中へと、どんどん、機嫌の指針がマイナス方向に流れているのを、付き合いの長い、大石は不二たちは気がついていた。 原因は、ご多分に漏れず、当テニス部のスーパールーキー期待の一年生レギュラーである越前リョーマである。 この日、リョーマは英二と付き合い出してから見かけなくなっていた、二年レギュラーの桃城武との『自転車二人乗り』が目撃されていた。 ――普段は、もう少し早く家を出る英二だが、朝食当番の時は、少し、遅めに家を出ることになる。 そう言う日は、いつもリョーマと正門辺りで会うことが出来るので、英二としては朝当番の日が、とても楽しみでもあったのだ。 だが――今日は違った。 正門に入る桃城の自転車。 その後ろに座る小柄な少年の姿に、英二は一瞬、目の前が暗くなったことを自覚した。 そうして、見間違いじゃないと確認するに至って、英二の機嫌は下降の一途を辿ったのである。 基本的に、朝練はそれほど時間がある訳じゃないので、ランニングと一組20本から30本程度の軽いストローク練習で終ってしまう。 柔軟を終えた後、ランニングに入る時に、英二は周りを見回した。 ――部室に到着したときも、自転車だから、当然先に来ていた桃城とリョーマが二人で仲良さげに話をしながら、着替えをしていた。 だから、いつものように「おっはよー! おチビ〜」と声をかけるのを躊躇ってしまい、更に機嫌が下降する。 「英二? 何ボーッとしてるのさ?」 クラスメートであり、親友でもある不二周助の声に、ハッとして誤魔化すように笑って見せるが、そのこめかみ辺りは引き攣っている。 「……無理して笑うことないよ? 英二」 「え? べ、別に無理なんかしてないよ?」 「ふーん……」 「だけど、笑顔になり切れてないのは、丸判りだな。菊丸」 「乾?」 「こめかみ、口許……ともに引き攣ってる」 ばっと自分の顔に手を宛てて、何とか元に戻そうと試みるが、不意に聞こえた桃城の笑い声に、視線を向けてしまった。 着替えを終えた桃城とリョーマが部室を出て行くところで、桃城は小柄なリョーマの腰に腕を回している。 ベキッ☆ バキバキッ☆ 何だか嫌な音がしたと思って、不二が周りを見回すと、確か自分の引き攣った口許を解していた……なのに、両手を重ねている――要するに関節を鳴らしている――英二がいた。 「……英二?」 少し、抑えた声で問い掛ける。 「何かな? 不二」 言葉はいつもと同じ。 だが、その声音はどこまでも低かった。 下手をすればどこぞの凡骨決闘者よりも低い声になっていたかも知れない(注:この話は、クロスジャンルではありません・笑)。 「いや、殺しちゃダメだよ?」 「……ヤダな〜何で、誰を殺すっての?」 「…………………………」 口調はあくまでも爽やかに。 でも、どこまでも声音は地を這うように低音で……。 さすがの不二もそれ以上言葉をつむぐことが出来ず、どうしたものかと思案する。 だが、考えても答えが出る訳でもなく、時間も押していた。 だから、肩を竦めてコートに出るために、部室を後にしたのだった。 当然。 不二が何も言えないものを、他の誰かが口出し出来る訳もなく、それぞれ、あたふたと着替えを済ませて、部室を出て行った。 それを見送りつつ、ゆっくりと着替えを始めて、英二はふっと乾のバッグに目を向けた。 「……おチビに手を出したらどうなるか。身を持って知って貰わないとね」 どこか暗い笑みを浮かべつつ、英二は独りごちる。 そうして、他のみんなより、少し遅れて部室を後にした。 ☆ ☆ ☆ 「あんまり、無理すんなよ。越前」 「煩いッス」 「でもなぁ」 「良いから早くして」 「……はぁ」 どこまでもぶっきらぼうに。 どこまでも生意気に。 越前リョーマは木陰に座り込み、自分を見上げて来る。 頭を掻きながら、桃城武はもう一度、わざとらしく溜息をついて見せ、その前にしゃがみ込んだ。 「ったく。朝練くらい休めば良いのに……」 「ヤダ」 「無理して酷くなったらどうすんだよ?」 「だから、ちゃんとしてって言ってんじゃん」 「……」 ああ言えばこう言う。 たまたま、持っていたから良かったものの、部室では人が多くて出来なかったため、ここでやっている訳だが。 不意に、背中に物凄く殺気の込められた視線を感じて、桃城はバッと背後を見返った。 だが、自分から見える位置には、誰もいない。 それぞれ、コートの準備をしている一年とか、それぞれ、思い思いに集合の合図が掛かるのを待っている面々が居るだけで。 「桃先輩」 「あ、ああ……悪い」 リョーマの声に、意識を戻し、止めた手を動かし始めた。 そうして、ランニングの間も、殺気の込められた強烈な視線を浴びつつ、桃城は確かめる意味で、ランニングを終えた後、そっとリョーマの腕に触れてみた。 「……っ!」 背筋に悪寒が走るほどの、強まった殺気。 確信を込めて、そっとリョーマから離れようとした瞬間。 不意に、リョーマが桃城の腕を掴んだ。 バランスを崩して倒れそうになっているリョーマを見て、自身の保身のために、身体をずらすことなど出来る訳もなく。 両腕でガッチリと抱きとめてホッとする。 「ども」 小さく頭を下げて来るリョーマに、桃城は表面上笑みを浮かべながら、内心では冷や汗ダラダラ、心の目は涙を流していた。 (殺される? 俺、殺されるかも知れない……) はっきり言ってしまえば、この殺気の持ち主が心配するようなことは何一つない。 こっちもいい加減、人目も憚らない、かの人のせいで、諦めもつき、告白して振られたこともあって、気持ちに整理もついて、何とかそう言う対象からはずすことが出来るようになって来た。 こうして二人で居られるのは、確かに楽しいが、それ以上でも以下でもない。 まあ、自分の過去のアヤマチを鑑みると、この殺気も、ある意味納得出来なくもないが、それはそれ、これはこれである。 やましいことは何一つないのだ! そう、非はこちらにはないと、自信を持って言える。 だからこそ、桃城はこの殺気の持ち主である一つ上の先輩。 普段は、結構気が合う、余り先輩後輩を意識しなくても良い、アクロバティックプレーの得意な彼に、直接抗議しようと考えたのだ。 それが……悲劇の幕開けになるとも知らずに。 ☆ ☆ ☆ 「英二先輩!」 3時間目の休み時間。 普段の休み時間よりも10分長い、この休み時間に、英二は自分のクラスで、不二を含めた友人数人と、それなりに楽しく話をしていた。 ――その内心はともかく。 そこを馴染みの声で呼ばれて、英二は視線を向ける。 それでも。 普通に楽しそうに笑みを含んでいたその視線は、一瞬だけ剣呑な光を湛えた。 それに気がついたのは、当然、不二のみである。 だが、直ぐにいつもの懐っこさを前面に押し出して、返事をする英二に、そんな剣呑な様子は微塵も感じず、誰一人、英二がそこへ向かうことを止める者も、桃城に注意を促す者もいなかった。 そう、誰一人―― 不二は、そこまでする義理はないと自分に火の粉が降りかからない以上、黙認を決め込んだらしい。 「何? 桃」 「……あの、少し良いッスか?」 「……ああ、良いよ? 込み入った話?」 「まあ、そっすね」 「じゃ、部室にでも行こうか?」 「あ。はい」 英二は、いつものように邪気のない笑みを浮かべながら、簡単に部室に桃城を誘い込んだ。 自分の半歩後ろからついて来る桃城に、見えないように、うっすらと。 普段はしない、酷薄な笑みを浮かべていた。 ☆ ☆ ☆ 「チーッス」 HRが長引いたせいで、いつもより遅れて、部室のドアを開けて中に入ると、そこにはレギュラーと呼ばれるいつもの面々だけが残っていた。 手塚部長と大石、乾は練習メニューについて何か話しているし、不二と河村が、英二の話を楽しそうに聞いている。 そんな中で、全員が入って来たリョーマにそれぞれ、声をかけて。 いつもの光景で、特に取り立てるものでもないと、リョーマはロッカーに向かって、テニスバッグを押し込んだ。 「……?」 何かが足りないと思いつつ、リョーマはそのまま、着替え始め、ジャージを羽織ったところで、部室中に響く声に驚きつつ振り返った。 「おチビ!!」 「え、エージ先輩?」 「おチビは、ダメだろ! 足、怪我してんだから部活は休み!」 「……え? 何で……大丈夫ッスよ。もう痛くないし……」 「ダメったらダメ! 先輩……じゃなくて、恋人命令!!」 「……何スか、それ?」 「たいしたことないからって、無理して練習して同じとこ捻ったりしたらどうすんだよ? リョーマ!」 ここぞっと言うところで、自分の名前を呼ぶ、この先輩兼恋人でもある英二の巧みさに、ズルイと思う気持ちも否めない。 「……でも、テニスしたい」 「今日はゆっくり休めば、明日には出来るよ?」 「……」 自分に目線を合わせて、前屈みに言って来てニコッと笑う英二に、リョーマは大きく溜息をついた。 「判ったッス」 「よーっし! そんじゃ、俺が家まで送ったげるね?」 「え? でも、エージ先輩……練習は?」 「少し遅れちゃうけど……良いよね? 手塚!」 不意に、話を振られた部長の手塚は、どこか引き攣ったような表情で、明後日の方向を見ながら頷いた。 「……越前を送り届けたら、寄り道せずに戻って来い。寄り道をしたら、グラウンド10周だ」 「OKOK! じゃ、おチビ、着替えて着替えて〜」 「……ッス」 頷いて、せっかく着たジャージを脱ぎ、制服に着替え始める。 「……そう言えば……」 着替えながら周りを見回して、足りないものを見出した。 「桃先輩は?」 「ああ、桃ね。気になるの? おチビ」 「……って言うか……何で居ないのかなって……」 首を傾げて無邪気に言うリョーマに、英二は頷いてにこやかに言った。 「桃は、クラスの用事で少し遅れて来るんだってさ。ね、海堂」 「……え!?」 まさか自分に振られると思っていなかったらしい、海堂はラケットのガットの調子を見ていた手を止め、硬直したように固まってしまった。 「あれ〜? 海堂が桃に会って、そう言ってたって言ったじゃん? そうなんでしょ?」 どこまでも明るく爽やかな口調で言う英二に対し、海堂はどこかぎこちない動きでもって頷いて見せた。 その間、リョーマは海堂に視線を向けていて、英二には全く目を向けてなかった。 だから……。 いつもの口調で言う英二が……どんな表情をしていたかなんて、海堂しか知らないのである。 「何だ……そうなんだ」 「何? 何か桃に用があるの?」 「別に……姿見えないからどうしたのかと思っただけ」 「……ふーん」 気のない返事をしつつ、英二は戸口に凭れていた。 着替えを終えたリョーマが英二を振り返り、テニスバッグを持つと、英二は透かさず手を差し出した。 「何スか?」 「持つよ? カバン」 「……ども」 そう言って、軽く頭を下げつつ、 「……そう言えば、いつから気がついてたんスか? 足のこと」 「……うん? ああ、桃に聞いたんだよ。おチビが足挫いてるって」 「……ちぇっ。黙ってて言ったのに……」 小さく呟かれた言葉に、英二は軽く首を傾げた。 「桃は、おチビのために、俺に教えてくれたんだよ? おチビが無理するから……! それに〜」 「……? な、何?」 ニッコリ笑って、リョーマの肩に両腕を載せて、英二はニコニコ笑みを浮かべながら言った。 「俺とおチビの間に隠し事はなしでしょ?」 「……」 「せめて、俺には教えて欲しいよな〜って思うのは、俺の我侭かな?」 「……」 「もし、俺が怪我してんの、おチビに隠して不二だけが知ってたらどう思う?」 「……………………………ヤダ」 「でっしょー? だから、今度からちゃんと俺に言ってよね?」 英二の言葉に、こくんと頷くリョーマを見て、英二は心底から笑みを浮かべた。 「じゃ、帰ろう」 そう言って、リョーマの手を掴み、部室のドアに手をかけて、「行って来るね〜」と気軽に出かけて行ってしまう。 それを見送ったレギュラー陣が、ホーッと盛大に溜息をついたのは、もちろん、リョーマも英二も知らないことだった。 ☆ ☆ ☆ ことが発覚したのは、3時間目の休み時間。 部室に忘れ物をした大石が、それを取りに来たとき。 部室の中から、何かが倒れる音が聞こえて、大石は慌ててドアを開けた。 基本的に、部室は朝に鍵を開けたら、その後は閉めることはない。 貴重品を残して行く者はいないし、盗られるようなものも、盗られて危険なものもこれと言ってないからだ。 ドアを開けて、中に駆け込むと、英二が椅子に腰掛けて、その向かいの椅子に腰掛けた桃城が机に突っ伏している。 「英二?」 「……よう、大石」 「桃は、どうしたんだ?」 見ようによってはただ寝ているだけにも見えなくもない。 だが……。 その右手はだらりと垂れ下がり、その足元には缶ジュースが転がっている。 「……英二? 一体、何を……?」 「別に。桃にジュース奢ってやっただけだけど」 「……奢ってやっただけって……」 それなら、何で桃城はこう言う状態なんだ? と突っ込みたいが言葉が旨く出て来ない。 「何だ、菊丸だったのか?」 「……?」 不意に後ろから聞こえた声に、大石はビクッと振り返った。 「あ。ばれてた?」 「……スーパーミラクル特製乾汁が、減ってたからな。どうしたのかと思ってたが……」 「い、乾?」 この状態を見て、桃城が乾の特製汁を飲んだと判るのなら、もう少し……倒れないくらいに、改良をして貰えないか? とは心の中でのツッコミである。 「まさか、味見する訳にも行かないからね〜青酢みたいに匂いがキツイとばれちゃうかなって思ったけど。そうでもなかったし……。もともとのジュースは俺が飲んで、乾の特製汁入れて、桃に上げたんだ」 どこまでも、爽やかに告げて来る英二が、知らない人間のように思えて、大石はこめかみ辺りが引き攣るのを感じた。 「……大丈夫大丈夫。特製汁で死んだ奴は、まだいないしねv」 ニッコリ笑って告げて、英二は大きく伸びをすると、大石を乾を見比べて、 「桃のこと頼める? 俺、おチビに弁当持ってかなきゃいけないんだ!」 そう言って、軽快にステップを踏むように、英二は部室を出て行った。 「……取り敢えず……保健室に運ぶか」 あっさりと告げて来る乾に、大石はどこか眩暈を憶えつつ……小さく頷いていた。 その事実をリョーマが来るまでに聞かされた他のレギュラーの面々は、何でそんな暴挙に出たのか、英二に問い掛けた。 英二はポロシャツを被りながら、 「決まってるじゃん?」 「決まってるって?」 「……おチビに手を出した報いだよん♪」 どこまでも明るく、笑顔を浮かべて言うから、返って空恐ろしいものを感じてしまう。 「で、でも、英二。手を出したって……もう、桃は越前のこと諦めてたんじゃ?」 何故か、レギュラーたちは英二とリョーマの関係も知っている上に、桃城がそれに横恋慕していたことまで知っている。 全て乾のデータによるものだが、それは、今は関係ないので、割愛する。 「ヤダな〜タカさん」 いっそ清清しいと言うべきなのか。 知らないものが見たら、見惚れるほどの笑みを浮かべて、英二はにこやかに言った。 「リョーマと二人きりで時間を過ごしただけで、万死に価するんだよ?」 部室内の空気がピシっと凍りついた。 英二はそれに気付かず、あるいは気付いているのに無視をしているのか。 更に続けて言った。 「だから……俺を差し置いて、リョーマと仲良くしようなんて思わないことだね」 これが、もっと剣呑な表情で、あからさまに感情的に告げられたのなら、それほどのこともなかったかも知れない。 だが、極上の笑みを浮かべて言う英二は、背筋に悪寒を走らせるには十分すぎた。 ☆ ☆ ☆ あの休み時間。 桃城と部室で対峙して、桃城は自分とリョーマの間には何もない。 今日、自転車に乗せたのは、リョーマが足を挫いていたからだと告げた。 それで、朝はテーピングを巻いていただけだし、誰にも言うなと口止めもされていた。 バランスを崩して倒れそうになっているのを、受け止めない訳にも行かずに、そうしただけで他意はない。 そう、捲くし立てるように言って来た。 でも、そんなことはどうでも良いのだ。 英二は、缶ジュースのプルトップを今開けた振りをして、桃城に差し出した。 「ふーん。じゃあ、桃は……おチビのために、一緒にいたって言いたいんだ?」 「そうっすよ? 英二先輩」 そう言って、英二が渡した缶ジュースを、一気に喉に流し込み……気付いた時には遅かった。 「……っ!? え、英二先輩……これ……!?」 「ねえ、桃」 そのまま、机に突っ伏すように倒れた桃城に向かって、英二はその口許に鮮やかな笑みを浮かべて言った。 缶が床に落ちて、転がる。 「関係ないんだよ。桃とおチビの間に何があったかとかそう言うことは……」 「……?」 それでもまだ、途絶えていない意識が、疑問を感じてそれが表情に出たらしい。 「……だって、俺が気に入らないのは、俺が一緒に過ごす筈だった時間を、桃が持って行って一緒に居られなかったことだからね」 「……っ!」 「どんな思惑があろうとなかろうと……おチビと一緒に貴重な時間を過ごしたことが大罪だってこと。判る?」 朦朧とする意識の中。 声音も表情もいつもと変わらない、一つ上の……普段は仲の良い気の合う先輩。 (越前のことになると人が変わるって……判ってたのに……油断、してたか……。で、でも……ここまで、傍若無人……だったか?) そうして、桃城の意識は途絶えたのである。 何とか、部活が終る頃には復活した桃城は、結局、練習出来なかったなと、そのまま自転車置き場に向かった。 自転車のスタンドを怠惰に蹴り、引き出して、テニスバッグを籠に入れる。 そうして、サドルに腰掛けて、漕ぎ出そうとした瞬間。 奇妙な感覚が、タイヤ越しに伝わり……それがパンクした時の状態と同じだと経験上、判った。 自分で直すことも出来そうにないから、自転車屋に持って行って修理して貰わねばならない。 痛い出費に、泣きそうになりながら、自転車から降りて後輪を調べてみた。 「……英二先輩……」 思わず声が漏れた。 これが英二のしたことだと言う証拠はない。 だが、殆ど本能でそう感じたのだ。 縦に並ぶ……画鋲の数はおよそ十個……。 そうして、その最後には紙片がついていて、書かれていることは……。 『天誅』 他に誰がいると言うのだ。 脱力しながら、自転車屋に修理を頼み、翌日、英二に向かって言ったのである。 「お願いっすから、自転車だけは手を出さないで下さいよ。それだけは勘弁して下さい……」 それほど多くはない小遣いから、これからパンクの修理費を出さなければならなくなると、昼や放課後に食べる物が制限されてしまう。 いや、それどころか買うことも出来なくなってしまう。 「何のことだよ? 桃」 ニッコリ笑って、首を傾げる英二の姿は……どう見ても悪魔にしか見えなかった。 <Fin> |
■……逃げて良いですか?(滝汗) いや、何か壊れてるって言うよりは英二が姑息で真っ黒で、 何か……これ良いのかな? と思うんですが;; でもでもですね! これ、ギャグなんで! そうは見えなくても!(涙) えと、だから、その……怒っちゃイヤvv(←貴様こそ天誅だ) |