True Love
Act4.当然の帰結


「やっぱりないな」
「……ないって、何が?」

 乾がキッチンに入って、冷蔵庫の中を物色しているのを、背後から見つめながら、克也は問い掛けた。
「……ここに入れていた……冷茶ですよ」
「……冷茶?」
「ああ。ちょっと……細工してある……ベースは麦茶なんですけどね」
「……?」
 何だかんだで、付き合いは長いが、もちろん、それほど深く付き合っている訳でもない。
 乾の言うことの意味が、判らずに克也は首を傾げた。

「それは、もしかして……乾汁のことか?」
 聞こえて来た大石の声に、克也が振り返った。
「乾汁?」
「ああ。乾が、色々……研究を重ねている……飲み物なんだが……」
「栄養価はあるらしいんだけどね。味に問題があるらしいんだ。僕は、青酢以外なら大丈夫だけど……」
 不二もやって来て、大石の言葉に付け加える。
「今回のは、味はそれほど悪くはなかったと思うぞ。なにせ、麦茶だからな」
「……それが、ないのが……問題なのか?」
「……今日の、昼前。オレは、ここで、菊丸と遊裏さんに会った」
「え?」
「二人とも、喉が渇いたからと、ここに来てたんだが……俺が離れる時、菊丸は、スポーツドリンクを持っていてな。だから、敢えて注意しなかったんだが……」
「スポーツドリンク? 遊裏が飲めねえぞ。アイツ、甘いの嫌いだから」
「……じゃあ、やっぱり二人で飲んだと言うことだな」
「……その、乾汁茶を?」
 克也の問いに、乾は頷いた。
「あれは……まだ研究途中なんだが……。一種の惚れ薬の効果がある。二人で一緒に飲めば、甘いひと時を過ごすことが出来ると言う代物なんだが……」
「………………………」
 克也は、思わず二の句を告げず、バッと大石と不二を振り返った。
 大石は、頭を抑えて俯き、不二は変わらない表情で、苦笑を浮かべつつ、でも、開いた目は笑っていない。
「要するに……それを、英二と遊裏が……飲んだと?」
「ああ。恋人同士で飲めば、何も問題ないのだが……。全く他人で飲めば……何が起こるか全く予測が出来なかった……」
「ちょっと待て!!」
「ふむ……いいデータが取れそうだな。で? 菊丸と遊裏さんはどこにいる?」
 まるで、何でもないことのように言う乾に、克也のコメカミが引きつった。


「……そ の ま え に ……………二人を……元に戻せ

ーーーーーっ!!





 まあ、克也の絶叫が響き渡ったのも……仕方がないことと言えるだろう。



「別に、慌てることはない。時間が経てば元に戻る。……と思う。……まあ、本当に二人が心の底から好きになって、結ばれでもしたら……」
 言いかけて、言葉を止めて、不二に視線を向けた。
「それで、二人はどこに?」
「今は、風呂に行ってるよ」
「そうか。なら、少しデータを取ってから……」
 ノートに何事か書き込みながら、不二に何かと質問を投げかけていた。

「大石……」
「は、はい……」
「……アイツは、いつもああなのか?」
「え、ええ……まあ。何のデータを集めているのか……今となっては判らないんですけどね」
 テニス部に所属し、試合に出ていた頃なら、まだ、判る。
 だが、今、彼のデータは何に使われているのか、非常に謎だ。
 ふと、乾が途中で言葉を切った内容に、遅れて克也は疑問に感じた。

『本当に二人が心の底から好きになって、結ばれでもしたら……』

 ――どう言う意味だ?

 物凄く嫌な感じがして、それを問い掛けることが躊躇われた。
 克也は聞かなかったことにしようと、風呂場に行こうとリビングを出て行きかけて、入って来ようとした誰かにぶつかりかけた。
「リョーマ?」
「……乾先輩の所為って本当ッスか?」
 話を聞いていたのだろう。
 何だかリョーマの目が据わっているような気がする。
「な、なあ……リョーマ。時間が経てば元に戻るって言うんだし……」
「カツヤは……乾先輩の言葉を全部聞いてない」
「……!」
 自分が聞かなかったことにしようと思ったことを、リョーマはハッキリと聞くつもりだと気付き、克也は、困ったように頭を掻いた。

「さっき、言いかけたっしょ? 『本当に二人が心の底から好きになって、結ばれでもしたら……』って。それってどう言う意味っすか? 続きは?」
 立て続けに問い掛けるリョーマに、乾が少しだけ首を傾げて肩を竦めて見せた。
「順番がちょっと違ったな」
「順番?」
「……そう。麦茶の所為で、互いを好きだと信じている二人が、ことに及んだ場合、心の底から好きあうようになると……そう言う可能性があると」
「ちょっと待てーーーーーーーっ!」
 乾の淡々とした言葉に、克也の怒声が割り込んだ。
「冗談じゃねえぞ! 何で、そんな変てこな飲み物のせいで、遊裏の気持ちが変わんなきゃなんねえんだ!」
「……同感。でも……」
「リョーマ?」
 克也の問いには直接答えず、リョーマは乾の側に更に歩み寄ってその長身を見上げて言った。
「まだ、余ってないッスか? その乾汁」
「……? ああ、ないことはないが……どうする気だ? 越前」
「それ、下さい」
 そう言って、克也を振り返る。
「ねえ、カツヤ。オレに付き合って」
「……何か、いい方法でもあんのか?」
「取り敢えず……」

 興味深々な乾と、不安そうな大石、面白そうにいつもの微笑で見つめている不二の目の前で、リョーマは言ってのけたのである。

「オレとカツヤがそれを飲めば、問題は解決すると思うんだけど……」
「………………………」


 克也が、引っくり返ったのは、当然と言えば当然かも知れない。





     ☆     ☆


 風呂場から出ると、そこに克也が居て、遊裏は動揺したように足を止めた。
「どしたの? 遊裏……」
 後から出て来た英二が不思議そうに声をかけて、克也の姿に気付き、眉を顰めた。

 克也は、肩を竦めて、遊裏に向かって、
「今更……どうでも良いかもしんねえけど。でも……これだけは言っときたくてよ」
「城之内くん?」
「……お前らのその奇行……。突発的な『恋愛宣言』……のことだけど。乾の作った特製麦茶の所為だってよ……」
「……特製麦茶?」
「なっ! そんな訳ないじゃん!! 言いがかりもいい加減にしてよ!!」
 英二の言葉に、克也が自嘲気味に唇を歪ませた。
「ま、それもどうでも良いんだろうけど。リョーマ」
 その呼びかけに、座り込んでいたリョーマが立ち上がった。
 座っていたために、死角になっていたらしく、今まで気付かなかったのだが。
 リョーマは手に水筒とカップを二つ持っていた。
「で、これを、オレとリョーマが飲むことにした。そうすれば、オレとリョーマが、今のお前らと同じような状態になる訳だ」

 乾の言葉を思い出す。
 永続的な効果が、元々あるとは思えない。
 ただ、惚れ薬としての効果が本当にあるなら、身体が結ばれてしまった場合、永続的に続く可能性があるかも知れない。
 どれも可能性の問題で確実ではないことを踏まえて欲しい。

 だが、多分、二人への効果は切れ掛かっている筈だ。

 だから、越前が言ったようにすれば……確かに……潜在的な気持ちが、邪魔をするかも知れない。
 そうしたら、チャンスだと思う。



 リョーマから受け取ったカップに、特製麦茶を注ぎ込み、リョーマと目を見交わした。
「……ま、これを飲めば、オレはエージ先輩を好きって気持ちから解放されて、カツヤのことを好きになれるんだから……気持ち的には楽だよね?」
「そうだよな。オレ達だって……一方的に別れたことにされて、これ以上、お前らがイチャついてんのは見たくねえし」
「そう言うこと。ねえ、エージ……エージは、ずっとユーリと付き合うんだから、それで良いんだよね?」
「……え? あ……」
 英二は、見るからに動揺を見せた。
 遊裏も、最初、克也の言葉の意味が判らずに、眉を顰めていたのが、次第に愕然とした表情に変わって行く。

「そんじゃ……乾杯ってか?」
 二人で目を合わせて、カップをこれ見よがしに打ち合わせる。
 そうして、口許に持って行った瞬間。









 克也もリョーマは、思い切り、後ろから引っ張られた。

「遊裏?」
「エージ先輩?」

 克也の腕を引いて抱き締めるようにしている遊裏と、リョーマの身体を抱き締めている英二に、克也とリョーマは一瞬だけ唖然とした後、ふっと目を細めた。

「っ!? あ、あれ? 身体が……勝手に……」
「……はれ? な、何で……?」

 自分の行動の意味が判らずに、遊裏も英二も茫然と呟いていた。

 その隙に、克也は遊裏の身体を抱きすくめて、手に持っていたカップの中身を口に含み、そのまま遊裏に口付けた。
「っ!?」
 ハッとしたときには、口移しで口内に冷たい液体が流れ込んでくる。
 互いに、それを飲み下した瞬間、克也は思わずふらつき、膝をついた。
 遊裏も、目眩を感じて、克也の方に向かって倒れ込む。

(何だ、この目眩は……;; 味がどうとかそれ以前の問題だろうが?)
 思いながら、それでも何とか、克也は、倒れ込んで来た遊裏の身体を抱き止めた。
 ふっと、リョーマと英二を気にして、そちらに視線を向けると、リョーマも英二の胸倉を掴んで、口移しで、特製麦茶を飲ませている。





 これを言い出したのは、リョーマである。

「オレとカツヤがそれを飲めば、問題は解決すると思うんだけど……」
 そうリョーマが言った後、克也は思わず引っくり返ってしまった。
 それじゃ問題の解決にはなんねえだろうと、うめくように言うと、リョーマは首を振って更に付け加えたのである。
「実際には飲む振りをするだけ……って言うか、一種の賭けかな。二人で飲もうとしたら、もしかしたら、エージとユーリが止めてくるかもしれない」
「……確かに……賭けだな」
 止めて来ることはないかも知れない。
 その場合は、二人して、特製麦茶を飲むことになるのだから……。

「こんな、よく判んねえもんで、自分の気持ちが変わるなんて思いたくねえけどよ」
「でも……楽にはなれるよ?」

 確かに。
 どっちに転んでも今以上の、悪夢にはなりはしない。




 ――だが、リョーマも克也も賭けに勝った訳である。
 実際に、遊裏と英二は、二人を止めたのだから――

「……くそ、身体に力が入んねえ」
 言いながら、それでも遊裏の身体を抱き起こし、廊下に座り込みながら、その腕の中に抱き締める。
 リョーマの方は、倒れ込んだ英二を抱き止めることが出来ずに、そのまま一緒に廊下に倒れてしまった。
「リョーマ? 大丈夫か?」
 克也の問いに答える様子はなく、ただ、首を縦に動かしかけて、横に振った。

「やっぱり……乾汁なんて……飲むもんじゃ…ないッス」
「……同感」

 結局、そこで、克也の意識は途絶えてしまったのである。








    ☆    ☆


 騒がしい音に、克也が目を覚ますと、窓の外に小さな炎が舞った。
「花火……?」
「……克也? 気が付いたのか?」
 暗がりの中、声だけが聞こえて来て、克也は視線を流した。
 花火が見えた、窓辺に人影が見えて、それが、誰か判った瞬間、不覚にも泣きそうになってしまった。

「……こっち、来いよ」
「でも……」
「オレが……頼んでんだよ。来てくれよ……」
 人影が立ち上がる様子が見えた。
 ゆっくりとこちらに近付いて来る、その足取りはどことなく重い。

「……遊裏?」
 少しだけ身体を起こして、呼びかけると、いきなりの衝撃に、克也は息が止まるかと思った。
 視線を下方に向けると、遊裏の頭が見えて、克也は暫し硬直したように動きを止めつつ、大きく息を吐き出した。
「……すまない」
「あのなあ、別にお前の所為じゃねえだろう?」
「でも……たとえ、オレの意志じゃなかったとしても……君じゃない誰かを選ぶなんて……」
「どうでも良いが、『こんな自分が赦せないんだ。だから、別れようなんて言うなよ?』」
 克也の言葉に、遊裏の肩が微妙に動いた。
 やっぱりなと、思わず溜息をつきながら、克也は遊裏の背中にゆっくりを腕を回して抱き締めた。
「……オレに悪いと思う気持ちがあるんなら、もっともっと、一緒にいてくれ……」
「……克也」
「それが、オレの望みだ。叶えちゃくれねえのか? 裏遊戯」
「……良いのか? 本当に……?」
「当たり前だろう?」
 遊裏を抱き締めたまま、器用に身体を反転させて、ベッドに押し付けるようにして、キスをする。
「か、つや……」
「何だよ?」
「……好きだ」
「……ああ。オレも好きだぜ? 遊裏」

 見つめあい、笑みを交して口付ける。
 だが、それ以上浸るには外が煩すぎた。

「花火、やってんのか?」
「ああ。雨も上がったし。本田くんたちが辛気臭いの払拭するとかって」
「あーあーそりゃまあ、確かにそうかもしんねえけど……」
 言いかけて、ふと思いついたことを口にした。
「英二とリョーマはどうなってんだ?」
「さあ? オレも気付いた時にはこの部屋にいたし、外には出てないから」
 克也は溜息とともに、起き上がって、遊裏に手を差し出した。
「もう、変なものは飲ませねえからな。一緒に行こうぜ」
「ああ!」

 遊裏も起き上がって、二人で部屋を出ると、隣の部屋のドアの前で座り込む英二に目を瞠った。
「英二?」
「何やってんだ?」
「……おチビに締め出し喰らったの。でも、オレが……悪いんだから。反省の意味を込めて、ここにいるの」
「……花火は、行かねえのか?」
「おチビが行かないって言ってるから、行かない」
 英二なりに反省している様子に、克也は苦笑を浮かべた。
「ま、頑張れよ。英二」
「克っちゃんも、ごめん……ね」
「さあ? 何のことか、オレには判んねえな? なあ、遊裏」
「……」
 返事のない遊裏を見返れば、困ったような表情で、俯きかけている。
「……あのなあ、二人に聞くけど。もし、アレをオレとリョーマが飲んでて、そんで元に戻ったとする。そしたら、お前らはオレとリョーマを責めるのか?」
「そんなの、乾の麦茶が悪いんじゃん!」
「ああ、責めるなんて、出来る訳がない!」
「じゃあ、それで問題は解決。リョーマだって、別に英二を責めてる訳じゃねえと思うぞ?」
「……克っちゃん」
「じゃ、先に行くな。お前もリョーマ引っ張って来いよ。花火やりてえって言ってったの、お前だろうが?」
 克也は言いながら遊裏の手を握り締めて歩き出す。
「不可抗力なんだから、責めてもしょうがないだろ? 知ってて飲んだ訳でもないし」
「……克也」
「傷付かなかった訳じゃない。でも、乾の特製麦茶の所為だったって判ってホッとしたのも事実だ」
「……ああ。そうだな」

 いつでもどんな時でも、君のその強さが、オレには眩しくて、でも、ずっと見ていたいと思う『光』なんだ……。
 遊裏は握られた手を、軽く握り返して、克也の腕を軽く引いた。
「遊裏?」
「戻してくれて、ありがとう……」
「……ばーか。ほれ、行くぞ!」
 更に強い力で、遊裏の腕を引き、克也は歩き出した。
 その頬がうっすらと赤くなっていることに、気付いて、遊裏は軽く微笑を浮かべたのである。



「……良いなー」
「何が良いんスか?」
「……って、うぁ!? おチビ?」
 いきなり開いたドアに、英二は、後ろ向けの転びかけた。
「何やってんの?」
「凭れてたドアが開いたら、こうなると思うけど?」
「……で? 何が良いんスか?」
「……いや、克っちゃんと遊裏ちゃん。仲直りして良いなーって」
 転がったままの状態で、自分を見下ろしくて来るリョーマを見つめて、英二は、小さく呟いた。
「……あのね、おチビ」
「……」
「泣かせてごめん。傷付けて……ごめん。でも……オレは……」
「もう良いッス」
「……リョーマ?」
 リョーマはその場にしゃがみ込んで、英二の顔を覗き込むようにして、
「あんたが元に戻れば……それで良いッスよ」
「……リョーマ!」
「だって、オレ、ユーリ憎みたくないし。ユーリのこと好きだから、やっぱり甘えたいし。ってことで、ユーリのとこに行くんでそこ退いてください」
「…………………ねえ、わざと? もしかして、わざと言ってる?」
「何のことっすか? エージ先輩」
 そっぽを向こうとするリョーマの後頭部に手を回して、英二は強引に自分の方に近づけさせた。
「エー……!?」
 軽く触れた唇に、リョーマが黙り込む。
 更に深く口付けて――不意に舌を軽く噛まれた。
「いて……」
「調子に乗ンな」
「ちぇーおチビも、その気になってたくせに」
「……その気ってナニ?」
 何だか凄味の利いた声に、英二は思わず首を竦めた。
「でも、オレはリョーマのこと、好きなんだから」
「知ってますよ。乾先輩の所為じゃなかったら、今頃、あんた生きてないし」
「どう言う意味かな?」
「さあ?」
 不敵な笑みを浮かべて、リョーマが今度こそ立ち上がる。
 そうして、まだ転がったままの英二に向かって左手を差し出した。
「……」
「行かないんスか? 花火」
「でも、リョーマ、行かないって……」
「気が変わったんで。後、ユーリに会いたいし……」
 その言葉に、のめりそうになりながら、差し出された手を握り締める。
 小さな、あったかな手を握り締めて、リョーマが自分を引くのと同じタイミングで、軽々と起き上がる。
「おチビ」
「何スか?」
「……戻してくれて、ありがとね」
「……当たり前じゃん? そんなの」

 手を繋いだまま、歩き出すリョーマに引かれるようにして、英二も歩き出した。
 階下に下りて玄関から、外に出ると、空気を鳴らして花火が上がる。
 軽い音と一緒に、小さな火の花が咲いて散った。


「あー英二先輩! 越前! こっちこっち!!」
「まだ、花火残ってるー?」
「まだまだ、いっぱいあるよ」
「行こう、おチビ!」
「そっすね」

 二人して駆け出し、花火を見ていると、再度点火された花火が空に舞う。


 本来の季節は冬である筈の12月末に。
 まるで、夏の夜のような気持ちを味わいながら、英二とリョーマは互いに顔を見合わせて笑みを浮かべた。

「もう直ぐだよ! 遊裏くん、城之内くん! みんな!!」
 遊戯の声が聞こえて、目を向けると。
 大空に、大輪の花が咲いた。

「な、何……?」
 次々に上がる花火に、英二もリョーマも他の面々も驚いたように、見入っていた。
「海馬くんが、用意した花火だよ。贅沢だよねー?」
 楽しそうに笑う遊戯に、克也と遊裏はいつものことと肩を竦めて笑った。


 夜空を彩る花火に対して、歓声が飛ぶ。
 その中で、そっと寄り添い口付けるカップルが幾つか見受けられた……らしい。


 だが、翌日英二を待っていたのは――
 リョーマの『今日一日、オレに触んないで下さい』報復だったとか……。

 それでも、すぐ傍について回る英二に、リョーマは随分、満足したような上機嫌だったそうである。



<えんど!>
■コメント■

予想以上に長くかかってしまい、更に話も長くなってしまいましたが、やっとこ完結しました!
……まあ、予想通りと言うか、ありきたりの結末と言うか……。
まあ、そんな感じで(笑)
何で翌日かと言えば、その日はやっぱりリョーマさんも、英二に触れてたかったと言うことで(笑)

で、楽しんで頂けたのでしょうか? 色々不安ではありますが、ここまで読んで下さった皆様に多大な感謝を!


サブタイトルに付いてですが。
本来『当然』のことってあるようで、ないような気がするんですが。
いえ、リョーマさんも『あたりまえじゃないと、気付けたら今日さえ変わる(by NEVER END)』って歌ってるので(笑)当然と思って安心してしまうことが良くないんですよね。
いや、不安でいろって訳じゃなくて。当たり前だと思えることに、感謝しようと言うことで(笑)
まあ、それを踏まえて、二人一緒にいるのは『当然』と言うことにして、そこに帰るってことで『帰結』としました。
当然と思って甘えて怠惰になっちゃだめなのよ。いつだって感謝してないとね(笑)

集中力がなくて、中々作業出来ずに、本来ならもう少し早く、お目見えできていたかも知れないのにと、心苦しいです。
他のことが後回し後回しになってますからね;;
でも、まだクリスマスがあるんですよ。
クリスマスは、これの前の話になります。
どうして、この面子で南の島に行くことになったのか。
になると良いなーっと思ってはいるんですが、全然違うものになってもご愛嬌!(笑)

それでは、これで失礼致します〜!!
感想あったら、下さいませ☆(笑)