遠い約束
第三話 全ては互いを想う気持ちのままに……

「あ、気がついた?」
「……菊丸先輩?」
「だよん。大丈夫? 痛いとこない?」

 ボーッとする頭で考えた。
 そう言えば……部活が終わったあと。
 正門でこの先輩と口論したことを思い出す。



 でも……。



 何で口論なんかしたんだっけ?





「平気っす」
 そこが、自分の部屋だと認識して、リョーマはホッとしつつ、答えた。
「良かった〜Vvv」
 心底からホッとしたように言う、英二にリョーマは軽く嘆息を漏らしつつ壁にかかった時計に目をやった。
 もう、9時を過ぎている。

「先輩……帰らなくて良いんですか?」
「ん。家には連絡してるから大丈夫だよ? 心配だったんだ……。全然、目を開けてくんないから……」
 英二の言葉に、リョーマは少し考えるようにして、ゆっくり起き上がった。

「心配かけて悪かったっす」
「……ううん。無事でよかったよ。怪我もしてないしね」
「……? 先輩……その手……」
 左手に巻かれた包帯に、リョーマが気付き、英二はハッとしたように、右手で隠しつつ笑った。
「擦りむいただけなんだけど。菜々子さんが、手当てしてくれたんだ。大袈裟だって言ったんだけどね」
「……そう言えば、オレを助けてくれた……」
「にゃはは……。んじゃ、帰るよ。また、明日ね」

 ポンポンと頭を軽く叩かれて、リョーマは自分の心臓が高鳴るのを感じた。

「あ、あの……」
「ん?」
「ありがと……ゴザイマシタ」
「……どういたしまして」
 英二はそう言って、ニッコリ笑うと、テニスバッグを肩に担いだ。
「じゃあね」




 何か……。

 いつもと違うものを感じた。












「先輩……」
「へ?」
 ドアを開けて、部屋を出ようとした英二が振り返る。

「ううん。なんでもないっす」
「そう? んじゃ、おやすみ〜ゆっくり休むんだよ?」
 そう言って、部屋を出て行き、ドアが閉まった。





(……一度も、オレを呼んでくれなかった……)
 その事実に気付いて、リョーマは自嘲気味に笑う。


 そう言えば、あの前に自分は英二に『嘘つき』だと言ったのだ。
 今まで溜めていた鬱憤を晴らすように言葉を投げつけた。
 徐々にあの瞬間瞬間を思い出し、頭に血が上るほどに恥ずかしく感じてしまう。
(絶対に、変に思ったよな……エージ……)

 そのことに、何も触れて来なかったのは……今の自分を気遣ってのことだろう。



「よう、馬鹿息子」
 いきなりドアが開いて、父親の南次郎が顔を出す。
「何?」
「……今の、お前の大好きな【エーちゃん】だろ?」
「……な? 何で判るの?」
「ガキの頃とちっとも変わってねえじゃねえか。まあ、なりはでかくなってけどな」
「……でも、オレのこと覚えてないし」
 リョーマはそう呟いて、そのまま、後ろ向け倒れ込んだ。
「……ま、まあ……色々事情もあるだろうさ」
 からかうつもりで来た割には、どこか落ち着きなくそう言い、南次郎はそのまま踵を返して、部屋を出て行こうとする。
「親父」
「あ?」
「何か隠していない?」
「……べ、別に……」
「……もしかして、親父、エージが青学にいること知ってた?」
「具合、悪くねえなら飯食っちまえ」
 リョーマの問いには答えず、南次郎はそう言って部屋を出て行った。

 疑問を浮かべつつ、リョーマは再度起き上がって、ベッドを下りて、Tシャツとショートパンツに着替えて、部屋を出た。
 食事を取り、風呂に入っていると、扉口から菜々子の声が聞こえて来て、顔を向ける。




「菊丸さんのお家の方から電話がかかってるんですけど。さっきの方ですよね? リョーマさん」
「え?」
 慌てたように、湯船の中で立ち上がる。
「オレが出るから!」
 リョーマの言葉に、菜々子はその場から踵を返した。










「――もしもし、リョーマですけど。エージ先輩、まだ帰ってないんですか?」
『9時過ぎにはそちらを出たのよね?』
「はい……」

 英二の家まで、20分もあれば辿り着く。
 今の時間は、10時を過ぎているし、帰り着いてないのは変だ。
「オレ、その辺捜して見ます」
 リョーマはそう言って、相手の返答を待たずに電話を切った。




 そのまま外に出ようとして、不意にリョーマは思いついたように、もう一度受話器を取り上げた。













『もしもし、不二ですが』
「……越前っす」
『あれ? 珍しいね。どうしたの?』
「菊丸先輩、そっちに行ってないっすか?」
『……来てないよ? 英二、居なくなったの?』
「……9時過ぎにオレの家を出て、まだ帰ってないらしいっす」
『……そう。――英二の居る場所なら、大体判るよ? 行ってみる?』
「どこっすか?」
『とりあえず、待ち合わせしようか?』
 不二の言葉にリョーマは了解の返事をして、受話器を戻して、直ぐに家を飛び出した。





 待ち合わせ場所は、直ぐ近くのコンビニで、リョーマが行った時には、不二は既に来ていた。

「早いっすね」
「まあね。越前くん、髪濡れてない?」
「ああ、風呂入ってったすから……」
「それで、ろくに乾かさずに来たの? 幾ら5月だって言っても、夜はまだ寒いし。風邪引くよ?」
 不二の言葉に、リョーマは憮然としたまま、呟くように言った。

「大丈夫っす。それより、エージ……菊丸先輩の居場所は?」
 さっさと問題の疑問を問い質すリョーマに、不二は軽く嘆息して、苦笑を浮かべた。
「じゃあ、行きながら話そうか?」
「……ッス」

 歩き出した不二が、一枚の写真を差し出した。
「……何スか?」
「その写真に写ってるのって……」
 リョーマはそれを手にして、じっと見つめ、次の瞬間まるで爆発するかの如く真っ赤になった。

「な、何で……不二先輩が……これ……?」
「そんな些細なことはどうでも良いとして。……それ、君だよね?」
「……………………っす」
「……やっぱりね」
「不二先輩?」
 何もかも判ってるような表情で呟く不二に、リョーマは怪訝な表情を向けていた。







    ☆   ☆   ☆


「学校?」
 遠目に見えて来た青学の正門にリョーマは思わず声を漏らした。
「幾ら、視力が良くても、この暗がりじゃ物を捜すのも大変だろうに……」
「え?」


 不二の言葉に、リョーマは思わず問い返した。
 だが、それには答えず、不二はここで待ってるようにリョーマに告げて、更に歩いて行く。



「不二先輩?」
 立ち止まっていたリョーマは、やはりジッとはしていられず、その後を追ってゆっくりと歩き出した。






    ☆   ☆  ☆


 もう少し正門に近付くと、不二と英二のやり取りが聞こえて来て、リョーマは思わず足を止めた。

「あの写真の子が英二の好きな子なの?」
「……そうだよ!」



 え?

 写真……?
 
 思わず自分が手にしたままの写真に、目を向けた。


(これ、持ってたの……エージなの?)

 まさか……。
 でも……この写真を、ずっと英二が持っていて、それで好きって言うのは……?

(え? でもエージの好きな子って……? あれ? 何か変……)
 混乱して来る頭の中で必死に、整理しようと試みる。


 桃城に聞いたのは、
英二には好きな子が居て、その子とはろくに会えない状態にあったこと。
 全然、会えずにいたのに……
英二はその子のことをずっと好きでいたことだけだった。

 でも、英二は
幼児期の頃のことなど覚えてる訳がないと言った。
 だから……英二は自分との後に、
他の誰かと出会い、その子のことをずっと想っているのだと思っていた。



(でも、この写真……は、オレだし……)



 不本意ながら、そこに写っているのは、紛れもなく自分である。
 半年ほど前に、南次郎と勝負をして、負けた時にやらされた格好の……。
 ――セミロングのウィッグをつけて、どこから持って来たのか、サマードレスを着せられて撮られた、屈辱の一枚……。












(……何で、これエージが持ってるの?)
 疑問が大きく膨らんで、更に頭が混乱して来る。













「そんなことより、写真返せよ! 不二!」
 英二の怒鳴り声に、ハッとしたように、考えるようにやめて、声の方に視線を向けた。

「……そんなに写真が大事?」
「当たり前だろう! あれはオレが好きな……おチビの写真なんだから!! 他の奴らに見せたくねえんだよ!」






















「……え?」



 自分の耳を疑った。


 今、英二は何と言ったのか……。


 写真の子を【好きだ】と言ってて……ずっと、この写真の子を想ってて。
 でも、この写真に写ってるのは、リョーマとは知らなかったはずで……。





 ――思わず、リョーマは後退ってしまった。
 足音が、静かな夜の正門前に、煩いくらいに響く。


「……!!」
 その音に気付いて、英二が焦ったように息を飲む。
「あ、越前くん。来ちゃったんだ」
 ついで不二が能天気に言う言葉に、英二が食ってかかった。
「来ちゃったって……不二! おチビがいるって知ってて!!」
「だって、僕に電話して来たの、英二のお姉さんじゃなくて、越前だもん」
「は?」
「英二のお姉さんは、越前くんの家に電話したんだよ」
「…………………」

「じゃあ、写真は越前くんに返して貰ってね。それから、越前くん、風呂上りでそのまま来たみたいだから、これ以上、体冷やさせないでね」

 茫然と黙り込む英二に、不二はそう言って、リョーマの傍に寄ると、小さく告げた。

「頑張ってね、越前」
「……ッス」

 余計なことを思いつつ、それでも不二の言動に多少なりとも感謝もしていて、複雑な心境のままリョーマは答えた。





「……あの……菊丸先輩?」
 少し視線を彷徨わせ、どうしたものかと頭を掻いた後。
 英二は、リョーマの方に近付いて、その頭に手を載せた。

「髪……まだ湿ってる」
「……あ、乾かさなかったから……」



 英二は、リョーマの手を掴んで、地面に放り出していたテニスバッグを片手に、歩き出した。
「あの……先輩」
「……話は……オレの家でしよう?」
「……先輩?」
「……何?」
「もしかして、オレを弾除けにしようとか思ってません?」
「……へへっ♪ バレた?」
「帰ります」
「冗談だって! でも、オレマジ帰らないとヤバイし……」

「……手帳、捜してたんすか? ずっと……」
「手帳より……写真捜してた」
「……何で、この写真……」
「だから、そう言う話はオレん家、着いてからね?」

 英二はそれ以上何も喋らず、リョーマも聞こうとはしなかった。





     ☆   ☆   ☆


 菊丸家に到着すると、予想した通りに、英二に向かって雷が落ちかけて……。
 だが、その背後にリョーマの姿を認めた姉は、その雷を半減させてしまった。

 とにかく、リョーマの身体を暖めたいからと、英二はリョーマを伴って自室に向う。

「ほんとに弾除けにした……」
「ぐ、偶然だってば……」
 英二はしどろもどろに言い訳しつつ、机の上のドライヤーを手にして、リョーマを椅子に座らせた。
「……自分でやります!」
「……良いじゃん。やらせてよ」

 ドライヤーのスイッチが入り、その盛大な音が響く中。
 リョーマは机の上にあった写真立てに気がついた。

「これ……」
「……ごめん」
「エー…ジ?」
「……ちゃんと、見つけるって約束したのに……判らなくて……」
「写真……もう、持ってないんだと思ってた。だから、オレのこと忘れてるんだって……」
「……違うんだよ」
「え?」

 一度、ドライヤーを止めて。
 英二はリョーマを見つめて、その手にある写真立てから写真を取り出した。

「これ……裏に
【リョーちゃんと】って書いてるだろ?」
「……」
 英二の言葉に黙ったまま、リョーマは頷いた。

「だから、オレ……リョーちゃんのフルネーム忘れてたんだ……」
「! で、でも、あの写真は!? 誰がエージに送ったの?」
「リョーちゃん……が送ってくれたと、オレは思ってたんだけど……」
 抽斗から封筒を取り出して見せる。
 英語で書かれた宛名。普通のエアメールで、その差出人は【Ryo】の一文字だけ。
 リョーマは、封筒の中を見て、一枚の便箋に一言だけ書かれている文字を見て首を傾げた。




【もう直ぐ、日本に帰ります】



「これだけ?」
「そう。でも、リョーちゃんが手紙と写真をくれたって思ったんだ。でも、オレ……リョーちゃんのこと、女の子だって思ってたんだよね。何でか判んないけど……。で、この写真がそれを更に確定させてさ」
「……」
「だから……おチビちゃんに会っても、リョーちゃんに似てるって思ったけど。本人とは思わなくて……」
「……」
「おチビちゃんが、他の奴と仲良くしてると、何か苛々してさ。それって、おチビちゃんがリョーちゃんに似てるから、だから……リョーちゃんが他の男と仲良くしてるみたいでヤなんだって思ったんだよ」
「……」
「自信があったんだ。どんなに離れてても、どんな姿でも……オレにはリョーちゃんが判るんだって。絶対に見つける自信あったのに……」
「でも……エージはオレのこと想ってくれてたんでしょ?」
「……」
「オレを見て、オレに似てるって思ったんでしょ?」
「……うん」
「だったら……エージはやっぱりオレを見つけてくれてたんじゃない?」
「え?」
「……でも、性別が違うと思ったから……別人と思っただけで。もし、あの時……オレが学ラン着てなかったら?」
「……」
「エージは、オレに直ぐに気付いてくれたんじゃない?」

 リョーマの言葉に、英二は目を伏せて、ドライヤーのスイッチを入れた。
 無言のまま、リョーマの髪を乾かしたところで、部屋のドアがノックされた。

「英二、ココア持って来たわよ」
「ありがと。姉ちゃん」

 ほかほかのココアのカップを、リョーマに差出し、英二は二段ベッドの下段に腰掛けた。

「ごめん……気付いたかどうか……自信ない……」
「……オレが男って判って……ガッカリした?」

 リョーマの言葉に、英二が驚いたような表情をして、慌てたように首を振った。

「そうじゃない。そうじゃないよ……」
「エージは気付いてくれたよ……。だって、【オレ】を忘れてた訳じゃないから……」
「え?」
「性別とか、そんなことどうでも良くて。リョー=リョーマだし。8年前に会ったオレのことを、ずっと想ってくれてて、オレの写真を大事にしててくれた……エージは、オレのこと忘れてなかった……」
「おチビ……?」
「……それが一番肝心なことでしょ?」

 リョーマはココアを飲み干して、英二の前に立って座る英二を見下ろした。

「でも、エージ……子供の頃のこと覚えてないって言った……何で?」
「え?」
「4、5歳から、6、7歳の頃のこと……憶えてたら奇跡だって」
「……ああ。おチビは憶えてるの?」
「……? 憶えてたよ?」
「でも、詳しいことは憶えてないでしょ?」
「……ベッドで二人した約束は覚えてるよ?」
「うん。オレもそれは憶えてた。でも、曖昧になったのも事実だよ」
「……そうなの?」
「写真がなかったら、きっと忘れてたと思う。それくらい、奇跡なことだよ? 憶えていたのは……」
「……じゃあ、オレもエージも奇跡を体験したんだね?」


 リョーマの言葉に英二は目を見開いた。
 そうして、クスクスと笑い出す。

「エージ……?」
「ありがと。おチビがそう呼んでくれて、【好きだ】って言ってくれたから……。オレは【リョー】に気がつけた」
「え?」
「事故に遭った時、うわ言で、そう言ってくれたの。だから、自分の中にあった……モヤモヤしたものが、全部クリアになった気がしたよ」
「……エージ?」
「オレ……本気で悩んでたの。リョーちゃんのこと好きなのに……おチビのこと凄く気になってて。だから、自分でおチビがリョーちゃんに似てるからだって言い訳してて……。――だからね、不二にそう言ったんだ。自分で自分を自戒しようと思ったんだよ。リョーちゃんを裏切りたくなかったから……」
「……」
「でもね。でも、おチビに
【傍に居る人を好きになって、あんたのことなんか忘れてる】って言われた時……本当に、自分自身が責められた気がした……。まさに、オレはリョーちゃんを忘れて、傍にいるおチビを選びたいと思ってたから……」
「エージ……」
「だから、ついムキになって酷い言い方した……。ごめん……」
「もう、気にしてない。……それに、オレも酷いこと言った。エージのこと傷付けた……」
「ありがと……。――リョーマはオレを助けてくれたよ? リョーちゃんを裏切ることもなく、おチビにオレの気持ちをちゃんと言える……チャンスをくれたから……」



 英二は目の前にいるリョーマの両手を取って、軽く口付けた。


「……オレと付き合ってくれませんか? オレは、越前リョーマが好きです」
「……」
 掴まれていた手を、リョーマは振り払った。
 一瞬、英二が痛そうな表情をした。
 だけど。




 リョーマはそのまま、英二の首筋に抱き着いていた。




「当たり前。オレ、エージのことしか見てないもん」
「おチビ……」
「ずっと、一緒にいようね? エージ」






 抱き着いているリョーマの背中に、腕を回して、抱き締めると、リョーマが軽く英二の肩を押して、身を起こした。


「約束、守ってくれるんでしょ?」
「……! もちろん♪」




 そう言って。





 英二はリョーマの唇に、そっと唇を重ねて……



「――お帰り、リョーマ」
「ただいま、エージ」






 そうして、互いに笑い合い……。
 英二は、リョーマの身体を、愛しそうに抱き締めていた。


<Fin>
〜後日談〜


「おっはよー♪ おチビーーー」
「はよ」
「……何? 何か不機嫌だね?」
「……あの写真……」
「へ?」
「女装写真……」
「ああ、あれね」
「送ったの、親父だった……」
「うぇ? ま、マジに?」
「……なーんか様子が変だから、問い詰めたら……。エージのことからかうつもりだったみたい……」
「あはは……」
「思ったより、オレもエージも気付かない上に、深刻になってるから、言い出せなかったって……」
「……思い出した」
「え? 何を?」
「子供の頃……オレ、おっちゃんに泣かされたんだよ……」
「泣かされた?」
「そう。リョーちゃんと結婚するって言って、『男同士は結婚できねえんだよ』って……。当たり前のことなんだけど、それで大泣きしたの……思いだしたよ……」
「……あのクソ親父……」

 忌々しげに呟くリョーマに英二は軽く笑った。

「ぜってー、泣かす!」
「おチビ……?」
「オレ、エージと結婚するからね! そうしたら、あのクソ親父、泣かせられる!」
「……リョーマ(T-T) 気持ちはすっごく嬉しいけど。そう言う理由で、結婚決意しないで」
 南次郎が泣く前に、英二が泣きたい気持ちになってしまった。


「いいとこ邪魔して悪いんだけど……」

 不意に割って入って来た声に、英二もリョーマもハッとしたように、視線を横向けた。

「ここが部室だって判ってるかな?」
 ニッコリ笑う不二の姿に、背筋に悪寒を感じながら、英二とリョーマは着替えを続行し始めた。


「でも、良かったな。越前」
「桃先輩?」
「そうだよな〜小さい頃に何か約束して、会えないままの子が二人いるってより、同一人物の方が自然だよな。案外、越前も英二先輩も鈍いんスね」
「「悪かったな(っすね)!」」


 重なった声に、二人顔を見合わせ笑い合う。

 やれやれと嘆息する不二やニヤニヤと笑う桃城たちを尻目に、英二はリョーマを抱き締めて、耳元で囁いた。


「リョーマ。ずっと一緒にいようね?」
「モチロン……ずっと傍にいてよね? エージ」



ちゃんちゃん♪(一生やってろ……・滝汗)
☆あとがき☆

次の次? 次で終わってるし……(−−;)
本当はね。リョーマさんに本当にそのことを忘れさせようかと思ったんですけど。
ありきたり過ぎてやめました。
記憶喪失は、美味しいけど処理が難しいのです。
特に思い出す瞬間がね。

でも、いずれ書きたいと思いますけど(笑)
そこを省いたので、次で終了しましたね(^^;)

それは、転をぬかしたってことでは?(滝汗)

イマイチ、盛り上がりに欠けるのはその所為かな……。
でも、切ったプロットとここまで話が違うのはどうよ?(涙)

英二が完全に忘れていた方が良かったか、もしくは逆の方が良かったか……。
リョーマさんが忘れてて、英二が一人覚えてるってのね。
そっちの方がしっくり来るな〜(−−;)

……思いっきりリョーマさん乙女ですね(笑)
ウチのリョーマさんには珍しいです。
英二が凄い、ちゃんと攻めに見えるんですが、どうですか?(笑)

あ、後、南次郎さん……初書きです……。
よく判らないですよ、この人は……。きっとからかい捲くってたんだろうな〜っと。

兎にも角にも。

ここまで読んで下さってありがとうございました!(^^;)
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです♪

肩透かししてたら、申し訳なく…………(T-T)

ではでは☆(脱兎)